香港旅情(4)

日本を旅立って二日目の朝、私は広東省の深圳市にやってきた。中国の南部に位置するこの都市は空気も綺麗でとても快適だ。
香港からの外資導入で目覚しい経済発展を遂げたが、北京や上海のようには汚れていない。人々に心もゆとりがあるように思われる。
これは私の一方的な感想であるが、北京人や上海人はどうも機械的に物事を処理しているようである。会話の中にも温か味が伝わってこないのである。
もちろん、これはほんの一部の人だけなのであるが、私のつたない中国語にめんどくさいといった態度がみてとれる。
 
しかしながら、ここ深圳で接した人々はみなそのような表情がないのである。
良く言えば、皆田舎のおじちゃん・おばちゃん・おねえちゃん・あんちゃんなのかもしれない。
それとも、日本人に接する機会が多く、日本人に寛大なのかもしれない。
例えば露天のおばちゃんに道を聞いたとしよう。
私の北京語が通じないと、私は紙に書いて筆談に切り替える。
そこで初めて、おばちゃんは意味を理解したらしく、微笑みながら説明してくれる。
それでも、私が良くわからないといった表情をしていると、道順を紙に書いてくれる。
こうゆう人情が私は好きだ。都会でも親切な人はいるのだろうが、なかなかお目にかからない。
 
ひとしきり人間観察を終えてホテルへ戻ったのは11時を過ぎたころである。
睡眠不足で体は疲れていたが、友人と再会する緊張で眠る気は起きなかった。
朝、友人から来たメールでは12時前には到着すると言っていたので、部屋で待っていることにする。
こうゆう時の5分・10分の過ぎるのは、なんとも長く感じてもどかしいものだ。私は動物園の熊のように部屋の中をうろうろと歩き回っているしかない。
そのうち、友人から今電車の中なので午後1時ごろになりそうとのメールが届く。
私は緊張の糸が切れたのか、急に眠くなってきた。でも、ここで寝てしまうわけにはいかず、旅の感想などを日記風にメモに記すことにした。
このとき、この後の切ないドラマの結末など知る由もなく、ただ友人を待っていたのだった。
 
 

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