中国の大学受験

 6月上旬、私は郊外に出かけるためバスに乗っていました。途中でしばらく停車するとのことで、つまらないな……と、ふと目を外にやる。そこには驚くほどの人の山。思わず声が出ます。「今日は何の日?!」

 毎年この時期に行われるもの、大学入学試験。試験会場には公安が配備され、厳戒態勢。受験生以外の入場を禁止するため、厳しく見張っています。その外に出来た人の山、それは試験会場の外から我が子を心配する親たちでした。

 日本でもそうですが、ここ中国でも「お受験」戦争の過熱ぶりが激しいようです。いい大学に入ることは、豊かで安定した人生を約束される。そう信じる傾向にあります。また一人っ子政策後の子どもたちということもあり、子どもの受験に寄せる親の期待は相当なものです。親たちは居ても立ってもいられず、我が子の試練をせめて近くで見守りたいと、仕事を休んで試験終了まで外で待ちます。

 そんな親たちの姿を見ながら、街の様子がいつもと違うことに気がつきます。車は穏やかに走行し、いつもより実に静かです。

 人生の大切な試練のひとつを受ける受験生に、行政はその環境を気遣います。試験期間中、受験会場周辺では、大声を上げることが禁止されます。また道路には所々に公安が配備され、臨時の「クラクション禁止」の道路標識が立てられます。また、工事現場については、会場周辺だけではなく、受験生の家の近くでも「工事の音がうるさくて勉強できない」といった苦情があれば、「大学入試ホットライン」という特設電話で苦情を受け付け、担当者が現場に出向き工事をやめさせるといったことが行われるそうです。

 受験日当日、上海市内ではタクシーのうち6000台が受験生優先に振り分けられ、一般の路線バスにも「受験生優先席」が設置されるなど、例を挙げればきりがない程の気遣い振りです。

 このような現状を見ると、外国人である私にはいささか行き過ぎのように思えるところもありますが、親や行政に見守られ、重々しい緊張感の中で、自分の志望する大学で勉学に励めるようにと挑む彼らの姿は他人事とはいえ、テレビのニュースを通じてじっと見入ってしまうものがあります。

 
PS.2006年の大学新卒者の6割が失業に直面しているとの報道に接して、中国の就職難も深刻なんだと改めて考えさせられました。

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