ODA-対中国 円借款

ODA(政府開発援助)とは、
発展途上国への経済、福祉を向上させることを目的に資金の贈与、低利での貸し出し、技術協力などを行うことである。
このうち、円借款とは円建てで行う低利融資のことで、中国向けのODAでは、円借款が9割を占める。

 対中円借款は、1979年12月に大平正芳首相が訪中。中国の改革開放政策を支援するために、第1次円借款の供与を表明したことから始まった。2002年までで貸付累計は約3兆円。
 こうした対中ODA見直しの議論を踏まえ、2001年10月、「対中国経済協力計画」を公表。従来の経済インフラから、環境や生態系の保全、内陸部の民生向上や社会開発、人材育成などを重視する方針を打ち出した。円借款は、これまでの中国の要請に応じる形から日本の主張を重視したものに変わりつつある。そして、2003年8月には1992年以来となる「ODA大綱」の見直しが閣議決定され、「国益の重視」が盛り込まれた。
 じっさい、国内からは、「中国は日本の援助に感謝しているのか、中国の国民は日本の援助を知っているのか」「軍事増強を行っている国に援助するべきでない」「中国も多額の援助を行っている、援助国に援助するのはおかしい」などという不満があがっている。
 一方、「日本の経済協力による中国の発展は日中双方の利益につながっている」というのが中国の主張。また、72年の日中国交正常化に際し対日賠償請求を放棄しており、円借款は「暗黙の賠償」との思いもある。日本は援助カードを対中外交の武器とするのに対して、中国は歴史カードで切り返すという構図が一貫して続いた。

 2004年3月末までに決める03年度分は、前年度比約20%減の967億円となり、89年度以来の1000億円割れとなった。これによって、対国別の円借款額も約1200億円のインドがトップとなり、99年度からトップを続けていた中国はインドネシアに次いで第3位となった。
 一方、年々増えている中国の元利償還額(返済額)は、03年度には1054億円となり、返済額が新規供与額を初めて上回ることになる。
 小泉首相は、中国へのODAについて「中国は目覚ましい経済発展を遂げている。もうODA卒業の時期を迎えているのではないか」と述べ、打ち切りの可能性を示唆した。これに対して、中国側は「ODAは中日関係の発展促進につながる重要な要素であり、日本企業にとってもプラス」であり、「継続を希望する」とコメント。ODAの問題は政治的に微妙で、「この問題がこじれれば、日中関係は雪上加霜(災いが重なる)になる」と、温家宝首相は小泉首相の卒業論に警告を発している。打ち切りは日本にとっては対中外交の重要な柱を失うことにもつながる。
 一方で、中国の専門家の間でも、仮に撤廃されたとしても、中国の経済発展や日中の通商関係の大局に影響はないという見方も出ている。懸念は打ち切り論をめぐる日中間の政治的緊張だろう。

北京五輪を目処に終了

 2005年3月、中国は円借款停止に向けた協議が始まったことを明らかにした。町村外相も、北京五輪が開かれる2008年度をめどに新規供与を終了する方針を表明。李肇星外相と合意している。
 3月29日、2004年度円借款の交換書簡署名式後、武大偉・外交副部長は「円借款について日中双方は2008年の終了に向け努力を続ける」と述べ、円借款の「有終の美」を飾ることで両国が一致した。なお、2004年度の額は対前年度比11%減の859億円で合意。

 2006年3月23日、日本外務省は2006年度の対中円借款の拠出決定を当面凍結する方針を表明。両国関係の悪化で政府自民党内に強硬論が浮上しているのが原因。これに対して、中国側は、「対中円借款をスムーズに完了させるのは、双方の利益に合致することであり、日本政府による一方的な決定は中日関係の雰囲気を改善する上では無益」と反発。
 その後、外相会談の実現などを受けて、日本政府は6月6日、2005年度分の凍結を解除する方針を決定。6月23日、文書を正式に交換。環境や人材育成分野の8件で、総額は前年度比13%減の747億9800万円。円借款の累計額は3兆2078億5400万円となった

 
 日本国内で相次いでいる対中政府開発援助(ODA)打ち切り論について、中国マスコミは全体的に冷静に受け止めている。
 ODA打ち切りについて、中国マスコミの報道はデータと背景分析を重視している。全体的に、感情論に走った印象は薄い。日本政府のデータを使った記事も多く見られる。

 中国中央テレビはニュースで「日本は25年間で中国へ3兆3000億円の政府開発援助を供与し、中国が外国から受けた経済援助総額の66.7%を占める。わが国にとって最大の経済援助国だ」と報じた。

 対中ODAの内訳について、各紙は「援助全体の9割を占める円借款が2兆9505億円、ほかに返済不要な無償資金協力と技術協力がそれぞれ1400億円」「円借款の大半は港湾、鉄道建設と石炭、石油開発などに使われており、わが国のインフラ整備を積極的に促進してきた」と伝えた。

 各紙の報道によると、中国は1990年から円借款の償還期に入り、04年までの総返済額は1兆5000億円に達した。

 小泉首相の就任以来、日本政府は対中ODAを大幅に削減してきた。一方、中国側の元利償還額(返済額)は年々増えている。03年には返済額が新規供与額を初めて上回ることになった。円借款額が967億円だったのに対して返済額は1054億円だった(新華通信社12日付)。

「大局に影響なし」
 
 中国マスコミは、ODAが経済発展に果たした役割を評価する一方、「戦争賠償の意味合いがある」「一方的な施しではない」と捉えている。「国益を考慮し対中ODAを打ち切る」という姿勢を強める日本。「過去の償い」と「経済協力」に限定し、継続を希望する中国。
 
 これらの本音をにじませながら、中国政府の姿勢は控えめだった。

 町村外相が対中ODAを将来廃止する意向を示したことについて、中国の李肇星外相は11月27日、「中国国民は自分の智恵、力と決意で、国を発展させて行くことができる」ときっぱりと述べた。中央テレビのニュースでは、李外相が記者団の前から去っていく前に、「もちろん、友人からの助けに感謝しています」と口調を和らげた様子が流れた。

 武大偉外務次官も11月30日、「日本が供与してきた政府開発援助に感謝しています。中国の経済状況が変わった現在、(ODAの打ち切りは)中日関係の大局に影響ない。自然の流れに任せよう」との見解を示した。11月31日付けの主要紙が伝えた。

ODAなしでの共存

 中国の専門家とメディアの間には、「“卒業”の覚悟をしよう」という声が聞こえた。乱暴な「ODA不要論」ではなく、経済と政治の現状を踏まえた上で、冷静な対応を図ろうとしているのだ。

 中国社会科学院研究員・中日関係史学会副会長の馮昭奎氏は、「“卒業”の時期はいつであれ、中日両国とも“卒業”までの道をしっかり歩かなければならない」と指摘する(『北京晨報』13日付)。

 馮氏は「日本と韓国の間にも、ODA開始から打ち切りまでの道のりがあったように、対中ODAを終結することもある」と一定の理解を示した。一方で、「経済援助の政治化は中日関係を複雑化させることになる」と憂えている。

 さらに、日本の「国益重視」の姿勢を認めた上で、両国の関係を再構築するという意見もある。

 『南方日報』(12月1日付)は「対中援助が終結へ 両強共存に期待」と題する記事を掲載し、次のように分析した―

 日本の対中経済援助の削減、さらに終結は、一種の必然性を持つ。(ODAの政治的意味合いをめぐって)中日の間にあった曖昧な黙認が崩れた。両国は具体的な問題を逐一交渉する方向へ歩き出した。これは2つの国が付き合うにあたって常識的な方法である。歴史問題も逐一交渉しながら、お互いに最大利益を得るような解決方法を探るのがベストだ。こうしたプロセスは、2つの大国が理性的に付き合うには必要な過程であるかもしれない。

ODA-対中国 円借款」への1件のフィードバック

  1. EXCUSE ME!
    That‘s not the turth。
    I only can tell U,ur country do not know what’s honesty,and u are all lives in the rumour!

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